ヨルの探偵Ⅰ


 黙々と課題を進めること数時間。

 ようやく終わってシャーペンを置く。周りを見渡すと瀕死の蒼依くんに結局スパルタで教えてる莉桜くんと、マイペースな恭に困り顔で教えている優介くんがいた。

 早々に課題を終えた虎珀くんと朝陽、翔くんは一緒にゲームをしてて微笑ましい。

 あの年下3人のほのぼの感はなんでだろうね。


「月夜、終わったらこっちも手伝ってよ」

「今終わったばっかりなのにぃ」

「蒼依の相手疲れたから僕は休憩する」

「俺に疲れるってなによ~。めそめそ」


 蒼依くんがめそめそ泣き真似するけど、1ミリも泣いてないし傷ついてもないよね。

 莉桜くんが、真夏なのに雪降るんじゃないかってくらいの冷えた目を蒼依くんに向けた。さっきまでほのぼの和んでいた空気はどこへやら。

 スマホを確認。まだ連絡はない。


「月夜ちゃん、今日スマホ気にしてるけどなんかあんの〜? ん?」

「連絡待ちかな」

「誰からよ〜。嫉妬しちゃうぞ〜」

「だる絡みやめてよね。はい、そこの英文解いて」


 目敏く指摘してくる蒼依くんを軽くあしらい、手付かずの英文を解かせることにした。

 蒼依くんはいかんせん解くのが遅い。1時間前から1ページしか進んでない。単語帳が横にあるんだから活用してよね。

 調べればわかるのにと思いつつ、面倒だから答えを先に教えて解説をしていく。

 この方が効率良さそうだし。


「蒼依たちの方、ずるくないか」

「何言ってんだ恭。こら、ちょっかい出すなよ」

「ははっ、嫉妬かよ恭くん? おらよ〜っと」

「まじで何してんの君ら……」


 答えを教えてもらっていてずるいと乱入してきた恭に、蒼依くんがヘッドロックかまそうとする。必死止めている優介くんが可哀想だ。

 ……もうやめよ。教えるのも疲れた。

 ソファーで寛いでた莉桜くんの隣に避難して、私は束の間の平穏に浸る。スマホの連絡気にしすぎて神経がすり減ってる気がした。

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