ヨルの探偵Ⅰ
ただもっとちゃんと、穴だらけのピースを埋めたいと言葉を発しようとした時、優介が「あの〜」と手を挙げた。
「ハイハイ、なになに? お兄さん質問?」
「ごめん。蒼依と恭と翔はどうやら顔見知りっぽいけど、俺と莉桜は初対面なんだよね。だからさ?」
「なるほど、自己紹介と説明! う〜ん、ここで突っ立って話すのもあれだし……」
ファミレスでも行こうか!
そんな女の一言で、俺たちはプレハブ小屋からファミレスに移動することになったわけだけど──車に戻った俺たちはまた驚かされることになる。
なにを驚いたって? 移動しようとゴンちゃんの待つ車に乗り込んだら、何やら2人は親しげ。
話を聞けばゴンちゃんが離れた場所に車を停めたあと、彼女がいきなり乗り込んできたと。それで仲良くなったと。
「(……理解し難いわ〜)」
後部座席で、背中を預けて脱力する。
確実に、俺がその時間プレハブ小屋に向かうとわかっててした行動だ。先を読まれていた。
女嫌いの莉桜ですら呆気にとられて、女と一緒の空間なのに、何も言わず呆然としてる。
それとは対極的に、翔は「会えた……」と少し嬉しそうにソワソワしてるから、俺はもう頭を抱えるしかなかった。