ヨルの探偵Ⅰ
約2時間、訳も分からないまま車に揺られて、学校付近のファミレスについて、車を降りる。
車の中では助手席でワイワイとゴンちゃんと会話していた女に2時間困惑して、ファミレスについてからもそれは終わらなかった。
店員さーん! と元気にオムライスを頼んで食べ始めた彼女に「ス、ストップ」と制止をかける。
スプーンを持ったままの女に「食べてていいから答えて」と言い、さっきの続きを再開した。
「まずさ、一ノ瀬の兄弟とも知り合いだよね?」
「んん〜。兄の方は踏んだ時に、弟の方は数学の問題集をあげたときにかな」
「すっげ〜、わかりにくい答え返すね」
「どちらも不本意だし、君とも不本意。君とってもしつこくて迷惑だったからさ」
押せ押せの俺が完全に彼女のペースに飲まれて、思わず頬が引き攣る。隣で優介が感心したように「ほぉ」と声を漏らしていて、余計に次の言葉を発しづらい。
これまた呑気に注文してご飯を食べ始めた一ノ瀬兄弟と、それを見て莉桜まで一口ちょうだいとほのぼのし始めて困る。
俺が頭を抱えて困る様子が新鮮だ、と言ってきた優介に「もうヤダ無理」とパスする。
すると、優介は笑顔のまま質問を始めた。
「なんで君は、蒼依にゲーム持ち掛けたのかな?」
そもそもの発端となるゲーム。それについて言及するらしい。