ヨルの探偵Ⅰ
もぐもぐとハムスターみたいに頬を丸くしている彼女を、見守るようにして待つ優介に、親子みてぇと思いながら返答を待つ。
少し彼女は悩んだ後、ケチャップの付いた口であっけらかんと言い放った。
「特に理由はないかな。仙波 蒼依とてもしつこくて、諦めそうになかったからゲームって言葉で意識逸らそうって思って」
「ゲームの中身も、適当?」
「う〜ん。そうだね。強いて言うなら最近噂になってた話で、夜の探偵屋に関連づければ乗ってくるかなって。そしたら案の定だし」
「君、すごいね」
「どうもありがとう。貴方も保護者感あって大変そうだね〜」
あまりにものほほんとした空気で和み始めたから、思わず眉間に皺が寄る。
結局のところ、俺がしつこくして迷惑だったからで起こったこと。⋯⋯ここまでする? 普通じゃないでしょ〜よ。
そんな俺の思いを汲み取ったのか、問いかけられる前に彼女はまた口を開く。
「全部知ってたわけじゃないよ。ただ夜の仕事してる知り合いが多くてね〜、ヤクザの情報とかよく耳に入るんだなぁ。……だからゲーム提案した後に、やばいかもって思って」
「じゃあ、最初から俺たちを危険な目に合わせるつもりじゃなかったってことかな?」
「あ、そうそう。途中で危ないことに気づいたの。一応、知り合いの刑事さんに話して何かあったらの対処は考えてたよ〜」
話を聞いて経緯を理解できても、納得はできない。
危なっかしいにも程がある。