ヨルの探偵Ⅰ
そんなこんな、どうやって豚箱にぶち込んでやろうと話し合いを進めていた時、もう1つの好機となる依頼が舞い込んできたわけだ。
それが今より、1ヶ月前ってとこ。
もう顔馴染みの常連である刑事さんが「困った〜」といつもの如く頼み込んできたのだが、内容はここ最近増えた若者のシャブについて。
格安で海外から仕入れたシャブが売人によって売り捌かれていて、見逃せない事態になってきたという話。
それでピーンっ! ときたわけだ。
「警察に黒羽組若頭捕まえてもらえば、追放の依頼もシャブについての依頼も一石二鳥で終わるってね〜」
「ベストタイミングだったネ」
「加えて、彼等も関わってきたことで一石三鳥。今回は楽勝だった〜」
bsも入ってきて、いい舞台を揃えて彼等への脅しと実力把握も兼ねて、私たちはほぼ行動をすることなく勝手に動いてもらった。
私がしたのは簡単な情報操作と警察へのタレコミ。
彼等が介入してくれたおかげで、あの小物若頭の甲斐性のなさが露呈され、部下に見放されて失意の中、警察に連行。
あの小物若頭の余罪はザックザク。当分どころか一生出てこれないのも十分有り得る。
ざまあみやがれであーる。
負け惜しみのように何かを言っていた若頭さんは、もう何の後ろ盾もない。
組自体に見放され、部下や知り合いにも見放され
売春やシャブについては完全にあの若頭さん一人が罪を被ることとなる。
人生ゲームオーバーだ。
「なんて呆気なーい終わり方ー」
「ソウダネ〜って、ヨル酔ってル? 顔が真っ赤ダヨ」
「ンン、ひゃにふるの」
頬っぺたを摘まれて、顰めながら抗議するも摘まれているせいで「何するの」という言葉を上手く発することは出来なかった。