今度は愛の唄を
人なんてほとんど来ない、村人は、50人にも行かないほどの小さな田舎の村で俺は、
育った。
そんなこの村には、昔から伝えられている
伝承がある
数百年前この村は、水にも食料にも飢えていた時期があった。そしてある村人が言った
この村がこんなにも貧相なのは、神の怒りが原因なのだと
そして神の生贄として村で一番若く美しい「真琴」と言う16歳の青年が生贄として神に捧げられた。
真琴は、自分が生贄になるとわかった時
生贄などおかしい、そんなことで今の状況が変わるわけないと村人を納得させようとした
だが長い飢えに苦しんできたもの達は、それを聞き入れなかった。
最後まで真琴は、諦めなかった。
だが結局真琴は、大きな岩に縛られ火に炙られこの世を去った。
その日の夜森には、青年の歌声が響き渡った
その歌は苦しみや憎しみを込められていた。
それからと言うもの食料不足が解消され
死んでいく人も年々減っていった。
村の人々は、口々にこう語った。
「あの生贄のおかげ」と
そして生贄として捧げた真琴を
「真琴様」と呼び讃えた
数百年たった今でも大人達は、「私たちが今幸せに生きていけるのは、真琴様のお陰」
だと語る。
これが大昔から語り継がれている真琴様の
伝承である。
俺は、これを初めて聞いた時馬鹿馬鹿しいと思った。
人の死で作られた幸せなどその内きっと壊れるだろう。
嫌々生贄になった真琴様の怒りは、きっと凄まじいものなのだから。
そして最近真琴様が生贄として捧げられた森で奇妙なことが起こっている。
夜中皆が寝静まった頃森のどこからが歌声が聞こえてくる。
村のみんなは、これを真琴様の歌声と言うが
そんなわけがないだろう死んだ者がどうやって歌うというのだ。
だが少し興味が湧いたのでみんなに内緒で
その森の中に入ろうと決意した。
森の入口には、御札のようなものがズラリと
並んでる。
大人達には、絶対に入るな真琴様の逆鱗に触れてしまうと言われてきている。
そしてこの御札は、真琴様が逃げてしまわぬよう村を一生守ってくれるようにと願いを込めて貼っているらしい。
「ただでさえクソみたいな理由で死んだのに魂さえこの村からでれないなんてな…」
そう呟くと木の裏から人影がでてきた。
「ほんとそれな!なんで俺殺された訳?!」
その声を聞き俺は、反射的に逃げてしまった
「お前から来たのに逃げんなよ」
その少し寂しく悲しそうな声は、小さく
朱雨の耳に入ってきた。
誰も居ない自分の家に帰り鼓動が早い
心臓に手を当てた。
「あの人が…真琴様?」
つい逃げてしまった。俺から行ったのに逃げてしまうとは、なんて失礼やつなんだ俺は…
明日謝りに行こう…
次の日は、朝から雨だった。
傘を持ち大人たちにバレないよう森へ向かった。進んでいくとある大きな岩の上に
座っている青年がいた。
「こんにちは…」
その青年は、こちらを見るとギロリと睨みつけ
「んだよ昨日の逃げたガキじゃねぇか」
怖いイメージがあったが想像とは、真逆に
美しく綺麗だった。そしてついついその気持ちは、口に出していた
「き、綺麗…」
それを聞いた真琴様の表情は、笑いへと
変わっていった。
「知ってる、大昔からずっと俺は、美しい綺麗と言われていたからな!」
その笑顔もまた美しいものだった。
雨がやみ太陽が真琴をよりいっそう輝かせた
それを見た時俺の心は、ギュっと締め付けられた。
これが俺の初恋になったのだ。
「んで?お前こんなとこで何してんの?」
「さ、昨夜逃げてしまったことを謝りたくて」
それを聞いた真琴は、目を見開きまたもや
「変なやつ」と言って大笑いした。
「まぁいいやお前名前は?」
「如月 朱雨です、」
如月?どこかで聞いたことがあるな
数秒ほど考えてパッと思い出した
生贄を提案した如月 謙信(キララギケンシン)と
同じ苗字ではないか、まさかこいつは、
あいつの子孫か?
目の色は、オッドアイで灰色の髪あいつの
子孫とは思えないほどの美貌じゃないか
まぁあの日から数百年は、たったもんな
面影なんてない方が自然か、
こいつに何かされた訳では、ないがあいつの血が混ざってると考えただけでも腸が煮えくり返りそうだ。
そうだこいつが死ねば如月の血筋は、この村から消え去る。いっそ今すぐにでも殺してしまおうか…?
「そんなこわい顔しないでください…」
そう言って朱雨は、俺の頬に手を当てた
数百年ぶりの人間の体温
頬から伝わってくるこの温かみに俺は、つい笑がこぼれた。
「お前歳は?」
「8歳、」
随分と若いな…こんなやつ殺したところで俺の怒りがなくなるわけもない。
それから暗くなるまで2人で他愛もない話をしていた。
「朱雨もう暗いぞ帰らなくてもいいのか?」
「迷惑でしょうか?」
「別にそういうわけじゃねぇけど親とかさ?」
朱雨の顔が暗くなった。これは親がいない
パターンか?
「親は、数年前川の洪水事故で死にました」
ビンゴだった。んだよそんな顔してたら俺が悪いみたいじゃん…
朱雨の顔を強引に上にあげ額にキスをした
数秒ほど朱雨は、フリーズして顔全体が
ゆでダコのように赤くなり
恥ずかしさのあまり朱雨は、岩からおり
駆け足で村に帰って行った。
「可愛いやつ…」
………?可愛い?あいつが?数百年前どんな女を見ても全く可愛いと思わなかったこの俺が?あんなガキが可愛い?
ただの気の迷いだな
それからと言うもの朱雨は、毎日俺の元へ来るようになった。
そして俺もまた朱雨に心を開いていった。
そんな日々が続いてから半年が経った頃突然
朱雨が思いがけないことを言ってきた。
「真琴様、好きです」
「それは、友達としてってことか?」
「いいえ、恋愛的にです、私は貴方と触れ合いたいしキスだってしたいです…」
このガキがここまでマセているとは、思わなかった。
偏見だがもっと純情でピュアだと思っていたのだが。
確かにこいつは、可愛いし8歳とは、思えない美貌だ。
だが…こいつと俺には、大きな壁がある。
朱雨は、生きているが俺はもうとっくの昔にに死んでいる。
「朱雨の気持ちは、嬉しいがお前には、もっとちゃんと生きている奴と幸せになって欲しい」
「俺は、貴方と幸せになりたい…」
少し俯きながらそう言われると本当に断りにくい…でもこの返事は、朱雨のこれからの人生もかかっている。
成り行きで付き合ってしまえばこのさきの未来朱雨を不幸にしてしまうかもしれない
それだけは、絶対にダメだ…
「俺は!貴方意外と幸せになりたくない…!」
「そうか…その気持ちがお前が大人になっても続くのなら…考えてやるよ」
そう言うとさっきまで暗かった朱雨の顔が
一気に明るくなった。
「一生貴方のそばに居ると誓います!」
そう言って座っている俺の膝の上によじ登ってきて頬に触れるだけのキスをした。
「こ、この間のお返しです…//」
「ははっ本当可愛い」
そう言って朱雨の頭を撫でた。
それからも朱雨は、毎日俺のそばにきて俺の孤独を埋めてくれた。
そんな日が2年ほど続いた。
そして今日は、朱雨の10歳の誕生日俺は、この間見つけた綺麗な石を磨いて指輪を作ってみた。
意外と綺麗にできて流石俺と自分を誇った
今日この頃である。
「おはようございます…真琴様」
なんだ?いつもより暗いぞ?いつもは、
もっと元気で明るく飛びかかってくるじゃないか。
まぁこの指輪を渡せばいつも通り元気になるだろう!
「朱雨誕生日おめでとう!プレゼントだ
これやるよ」
朱雨の手を取り左手の薬指に指輪をはめた。
どうだ!と言わんばかりに朱雨の顔を見てみるとさっきより絶望したような顔をしている
「真琴様…ッごめんなさい、貴方のそばに一生いると誓ったのに…ッ」
そう言い終えると朱雨は、膝から崩れ落ちた
泣きじゃくる朱雨を抱きしめあやしてやると
ようやく泣き止んでくれた。
「んで?どうしたんだよ、」
「…俺この村をでることになりました」
それを聞いたとき足元にできた大きな穴に
落とされたような感覚になった。
「なん、で?」
「この村じゃ生きにくい、そう言って俺の遠い親戚の如月家の夫婦が俺を引き取ることになったそうです」
「そ、か…」
また俺は、この森で1人になるのか?
またあの孤独がやってくる。
嫌だ、そんなの絶対に嫌だ…
もう…1人は、嫌だ
「この指輪素敵です、大事にします」
「いいよ、そんなもん持ってたって仕方ねぇ」
「こんなところで終わらせません!絶対に!
大人になったら迎えに来ます!だから
今度は告白、、OKしてくださいね、」
そう優しい笑顔で笑った。
その日の夜は、一晩中泣いた
これまでの朱雨との思い出を巡りながら
ずっとずっと泣いた。
気がつけば日が登っていた。
太陽を見ているとあの日俺が生贄にされた時の炎を思い出した。
頭の中を巡るあの歌悲しみ憎しみを歌詞にしたこの歌を俺は、何度歌っただろうか
でもなんだか今日は、違う歌を歌いたいな
そうだ朱雨に向けた愛のこもった歌を
「🎼.•*¨*•.¸¸♬🎶•*♡♬*°♪.•*♡ ♬*°♪.•」
この歌は、あいつに届いているだろうか?
行きたくない…真琴様に会いたい…。
真琴様のいる森を見つめていると大きな岩の上にキラキラと輝いている綺麗で美しい
真琴様の姿があった。
遠くて聴こえないはずなのにはっきりと
聴こえる…貴方の歌声が。
「🎼.•*¨*•.¸¸♬🎶•*♡♬*°♪.•*♡ ♬*°♪.•」
この歌声を俺は、一生忘れない
「待っていてください…真琴様絶対に迎えに
行きます、」
〜10年後〜
今日で俺も晴れて成人した!
ようやく大人になれた!!
大人になった…やることは、ただ1つ
生まれ故郷に…帰る、!!
俺の故郷であるあの村は、7年前に完全に
消滅した。
俺があの村をでてから2年間で数十人の村人があの村をでて行った。
ただでさえ少ない住民が多数減ったため
仕事が回らなくなり金銭的にも厳しくなった
それから諦めてほとんどの村人が村をでて
都市にでた。
でも最後まで村長だけは、あの村に残ったらしい結局病で死んだと聞かされたが
「真琴様を生贄にまでして守った村は、今となれば都市のゴミ箱にされている。」
皮肉な話だな。
だがそんなことは、どうでもいい俺は真琴様に会いに行くんだ!!
新幹線やバスを乗り継ぎして着いた場所は
ほとんど何も無い。
あるのは、雑草まみれの畑や誰も住んでいない小さなお店。
そして歩いていくうちに到着した。
真琴様がいる、森だ。
やばい心臓が破裂しそうなほどバグバクうるさい。
地べたに土まみれの御札があった。
もうこんな御札なんの意味もない。
真琴様は、いつでもこんな村をでて行ける
そんな状態で俺一人のためだけに10年間も
待ってくれているだろうか?
もしかしたらもうとっくに…
そんなことを考えていると森に懐かしい歌声が響きだした。
「🎼.•*¨*•.¸¸♬🎶•*♡♬*°♪.•*♡ ♬*°♪.•」
あぁ懐かしい…
森の奥へ進んでいくと大きな岩の上で
美しく綺麗な青年が歌を歌っている。
真琴様だ…。
「迎えに来ましたよ、」
真琴様がゆっくりこちらを振り返ると優しい笑顔で言った。
「待ちくたびれたぞ、朱雨」
〜〜END〜〜
育った。
そんなこの村には、昔から伝えられている
伝承がある
数百年前この村は、水にも食料にも飢えていた時期があった。そしてある村人が言った
この村がこんなにも貧相なのは、神の怒りが原因なのだと
そして神の生贄として村で一番若く美しい「真琴」と言う16歳の青年が生贄として神に捧げられた。
真琴は、自分が生贄になるとわかった時
生贄などおかしい、そんなことで今の状況が変わるわけないと村人を納得させようとした
だが長い飢えに苦しんできたもの達は、それを聞き入れなかった。
最後まで真琴は、諦めなかった。
だが結局真琴は、大きな岩に縛られ火に炙られこの世を去った。
その日の夜森には、青年の歌声が響き渡った
その歌は苦しみや憎しみを込められていた。
それからと言うもの食料不足が解消され
死んでいく人も年々減っていった。
村の人々は、口々にこう語った。
「あの生贄のおかげ」と
そして生贄として捧げた真琴を
「真琴様」と呼び讃えた
数百年たった今でも大人達は、「私たちが今幸せに生きていけるのは、真琴様のお陰」
だと語る。
これが大昔から語り継がれている真琴様の
伝承である。
俺は、これを初めて聞いた時馬鹿馬鹿しいと思った。
人の死で作られた幸せなどその内きっと壊れるだろう。
嫌々生贄になった真琴様の怒りは、きっと凄まじいものなのだから。
そして最近真琴様が生贄として捧げられた森で奇妙なことが起こっている。
夜中皆が寝静まった頃森のどこからが歌声が聞こえてくる。
村のみんなは、これを真琴様の歌声と言うが
そんなわけがないだろう死んだ者がどうやって歌うというのだ。
だが少し興味が湧いたのでみんなに内緒で
その森の中に入ろうと決意した。
森の入口には、御札のようなものがズラリと
並んでる。
大人達には、絶対に入るな真琴様の逆鱗に触れてしまうと言われてきている。
そしてこの御札は、真琴様が逃げてしまわぬよう村を一生守ってくれるようにと願いを込めて貼っているらしい。
「ただでさえクソみたいな理由で死んだのに魂さえこの村からでれないなんてな…」
そう呟くと木の裏から人影がでてきた。
「ほんとそれな!なんで俺殺された訳?!」
その声を聞き俺は、反射的に逃げてしまった
「お前から来たのに逃げんなよ」
その少し寂しく悲しそうな声は、小さく
朱雨の耳に入ってきた。
誰も居ない自分の家に帰り鼓動が早い
心臓に手を当てた。
「あの人が…真琴様?」
つい逃げてしまった。俺から行ったのに逃げてしまうとは、なんて失礼やつなんだ俺は…
明日謝りに行こう…
次の日は、朝から雨だった。
傘を持ち大人たちにバレないよう森へ向かった。進んでいくとある大きな岩の上に
座っている青年がいた。
「こんにちは…」
その青年は、こちらを見るとギロリと睨みつけ
「んだよ昨日の逃げたガキじゃねぇか」
怖いイメージがあったが想像とは、真逆に
美しく綺麗だった。そしてついついその気持ちは、口に出していた
「き、綺麗…」
それを聞いた真琴様の表情は、笑いへと
変わっていった。
「知ってる、大昔からずっと俺は、美しい綺麗と言われていたからな!」
その笑顔もまた美しいものだった。
雨がやみ太陽が真琴をよりいっそう輝かせた
それを見た時俺の心は、ギュっと締め付けられた。
これが俺の初恋になったのだ。
「んで?お前こんなとこで何してんの?」
「さ、昨夜逃げてしまったことを謝りたくて」
それを聞いた真琴は、目を見開きまたもや
「変なやつ」と言って大笑いした。
「まぁいいやお前名前は?」
「如月 朱雨です、」
如月?どこかで聞いたことがあるな
数秒ほど考えてパッと思い出した
生贄を提案した如月 謙信(キララギケンシン)と
同じ苗字ではないか、まさかこいつは、
あいつの子孫か?
目の色は、オッドアイで灰色の髪あいつの
子孫とは思えないほどの美貌じゃないか
まぁあの日から数百年は、たったもんな
面影なんてない方が自然か、
こいつに何かされた訳では、ないがあいつの血が混ざってると考えただけでも腸が煮えくり返りそうだ。
そうだこいつが死ねば如月の血筋は、この村から消え去る。いっそ今すぐにでも殺してしまおうか…?
「そんなこわい顔しないでください…」
そう言って朱雨は、俺の頬に手を当てた
数百年ぶりの人間の体温
頬から伝わってくるこの温かみに俺は、つい笑がこぼれた。
「お前歳は?」
「8歳、」
随分と若いな…こんなやつ殺したところで俺の怒りがなくなるわけもない。
それから暗くなるまで2人で他愛もない話をしていた。
「朱雨もう暗いぞ帰らなくてもいいのか?」
「迷惑でしょうか?」
「別にそういうわけじゃねぇけど親とかさ?」
朱雨の顔が暗くなった。これは親がいない
パターンか?
「親は、数年前川の洪水事故で死にました」
ビンゴだった。んだよそんな顔してたら俺が悪いみたいじゃん…
朱雨の顔を強引に上にあげ額にキスをした
数秒ほど朱雨は、フリーズして顔全体が
ゆでダコのように赤くなり
恥ずかしさのあまり朱雨は、岩からおり
駆け足で村に帰って行った。
「可愛いやつ…」
………?可愛い?あいつが?数百年前どんな女を見ても全く可愛いと思わなかったこの俺が?あんなガキが可愛い?
ただの気の迷いだな
それからと言うもの朱雨は、毎日俺の元へ来るようになった。
そして俺もまた朱雨に心を開いていった。
そんな日々が続いてから半年が経った頃突然
朱雨が思いがけないことを言ってきた。
「真琴様、好きです」
「それは、友達としてってことか?」
「いいえ、恋愛的にです、私は貴方と触れ合いたいしキスだってしたいです…」
このガキがここまでマセているとは、思わなかった。
偏見だがもっと純情でピュアだと思っていたのだが。
確かにこいつは、可愛いし8歳とは、思えない美貌だ。
だが…こいつと俺には、大きな壁がある。
朱雨は、生きているが俺はもうとっくの昔にに死んでいる。
「朱雨の気持ちは、嬉しいがお前には、もっとちゃんと生きている奴と幸せになって欲しい」
「俺は、貴方と幸せになりたい…」
少し俯きながらそう言われると本当に断りにくい…でもこの返事は、朱雨のこれからの人生もかかっている。
成り行きで付き合ってしまえばこのさきの未来朱雨を不幸にしてしまうかもしれない
それだけは、絶対にダメだ…
「俺は!貴方意外と幸せになりたくない…!」
「そうか…その気持ちがお前が大人になっても続くのなら…考えてやるよ」
そう言うとさっきまで暗かった朱雨の顔が
一気に明るくなった。
「一生貴方のそばに居ると誓います!」
そう言って座っている俺の膝の上によじ登ってきて頬に触れるだけのキスをした。
「こ、この間のお返しです…//」
「ははっ本当可愛い」
そう言って朱雨の頭を撫でた。
それからも朱雨は、毎日俺のそばにきて俺の孤独を埋めてくれた。
そんな日が2年ほど続いた。
そして今日は、朱雨の10歳の誕生日俺は、この間見つけた綺麗な石を磨いて指輪を作ってみた。
意外と綺麗にできて流石俺と自分を誇った
今日この頃である。
「おはようございます…真琴様」
なんだ?いつもより暗いぞ?いつもは、
もっと元気で明るく飛びかかってくるじゃないか。
まぁこの指輪を渡せばいつも通り元気になるだろう!
「朱雨誕生日おめでとう!プレゼントだ
これやるよ」
朱雨の手を取り左手の薬指に指輪をはめた。
どうだ!と言わんばかりに朱雨の顔を見てみるとさっきより絶望したような顔をしている
「真琴様…ッごめんなさい、貴方のそばに一生いると誓ったのに…ッ」
そう言い終えると朱雨は、膝から崩れ落ちた
泣きじゃくる朱雨を抱きしめあやしてやると
ようやく泣き止んでくれた。
「んで?どうしたんだよ、」
「…俺この村をでることになりました」
それを聞いたとき足元にできた大きな穴に
落とされたような感覚になった。
「なん、で?」
「この村じゃ生きにくい、そう言って俺の遠い親戚の如月家の夫婦が俺を引き取ることになったそうです」
「そ、か…」
また俺は、この森で1人になるのか?
またあの孤独がやってくる。
嫌だ、そんなの絶対に嫌だ…
もう…1人は、嫌だ
「この指輪素敵です、大事にします」
「いいよ、そんなもん持ってたって仕方ねぇ」
「こんなところで終わらせません!絶対に!
大人になったら迎えに来ます!だから
今度は告白、、OKしてくださいね、」
そう優しい笑顔で笑った。
その日の夜は、一晩中泣いた
これまでの朱雨との思い出を巡りながら
ずっとずっと泣いた。
気がつけば日が登っていた。
太陽を見ているとあの日俺が生贄にされた時の炎を思い出した。
頭の中を巡るあの歌悲しみ憎しみを歌詞にしたこの歌を俺は、何度歌っただろうか
でもなんだか今日は、違う歌を歌いたいな
そうだ朱雨に向けた愛のこもった歌を
「🎼.•*¨*•.¸¸♬🎶•*♡♬*°♪.•*♡ ♬*°♪.•」
この歌は、あいつに届いているだろうか?
行きたくない…真琴様に会いたい…。
真琴様のいる森を見つめていると大きな岩の上にキラキラと輝いている綺麗で美しい
真琴様の姿があった。
遠くて聴こえないはずなのにはっきりと
聴こえる…貴方の歌声が。
「🎼.•*¨*•.¸¸♬🎶•*♡♬*°♪.•*♡ ♬*°♪.•」
この歌声を俺は、一生忘れない
「待っていてください…真琴様絶対に迎えに
行きます、」
〜10年後〜
今日で俺も晴れて成人した!
ようやく大人になれた!!
大人になった…やることは、ただ1つ
生まれ故郷に…帰る、!!
俺の故郷であるあの村は、7年前に完全に
消滅した。
俺があの村をでてから2年間で数十人の村人があの村をでて行った。
ただでさえ少ない住民が多数減ったため
仕事が回らなくなり金銭的にも厳しくなった
それから諦めてほとんどの村人が村をでて
都市にでた。
でも最後まで村長だけは、あの村に残ったらしい結局病で死んだと聞かされたが
「真琴様を生贄にまでして守った村は、今となれば都市のゴミ箱にされている。」
皮肉な話だな。
だがそんなことは、どうでもいい俺は真琴様に会いに行くんだ!!
新幹線やバスを乗り継ぎして着いた場所は
ほとんど何も無い。
あるのは、雑草まみれの畑や誰も住んでいない小さなお店。
そして歩いていくうちに到着した。
真琴様がいる、森だ。
やばい心臓が破裂しそうなほどバグバクうるさい。
地べたに土まみれの御札があった。
もうこんな御札なんの意味もない。
真琴様は、いつでもこんな村をでて行ける
そんな状態で俺一人のためだけに10年間も
待ってくれているだろうか?
もしかしたらもうとっくに…
そんなことを考えていると森に懐かしい歌声が響きだした。
「🎼.•*¨*•.¸¸♬🎶•*♡♬*°♪.•*♡ ♬*°♪.•」
あぁ懐かしい…
森の奥へ進んでいくと大きな岩の上で
美しく綺麗な青年が歌を歌っている。
真琴様だ…。
「迎えに来ましたよ、」
真琴様がゆっくりこちらを振り返ると優しい笑顔で言った。
「待ちくたびれたぞ、朱雨」
〜〜END〜〜