LUNA

煙草をくゆらせる
あなたのその唇に

私はそっと

口づけをを落とす


甘くて苦い、

そんなキス

「月がきれいだね」
なんてさ

言わないでよね

少し肌寒いベランダで

ふたり

身を寄せて見た

2:00 a.m の月



ふと隣を見れば

あなたはいなくて

代わりに
あなたの好きだった

煙草の空箱

”LUNA”

その香りは

悲しくも

忘れることなんかできなくて



「ばーか」

凍てつく空気に身を包まれ

ひとり

ベランダで見上げる

2:00 a.m の月

私もあのくゆった煙みたいに

きもちを

吐き出したらよかったかな

…なんて

そんなつぶやきは

月に消えた

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