弱気な誘惑 〜Under the Mistletoe〜
 声が小さいのは確かだが、公園はシーンとしているのに、白々しく言う。
「だから、ずっとマヤちゃんのことが好きだったんだよ!」
 清々しいほどキッパリと言い切った彼。
「よくできました」
 そう言って、柴ちゃんの頭を撫でた。
「はい…?」
「さてと…じゃあ、少し遠回りして帰りましょ」
「う、うん…」
 私たちは、ゆっくりと、そして、いつもとは違うルートを歩き出した。
「あのさ、俺はちゃんとハッキリ言ったんだけど…」
「んー?そうねぇ」
 私って、やはり性格が悪い。
「マヤちゃんは…どうして、わざわざヤドリギの下に行こうなんて言い出したの?」
「さぁ?どうしてだろう?」
「そりゃないよ…」
 流石に、ちょっと意地悪すぎるだろうか。
 思い切り腕を絡ませて、それが私の気持ちなのだと伝えようとした。
「私、身持ちは固いつもり。だから、言葉にしても、行動にしても、なかなかねぇ」
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