異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません！

　内に秘めた聖なる力は莫大だが、神殿は怖いところだと植え付けられているせいで、うまくコントロールをできていないだけなのだ。
　彼女が安心して暮らせる環境に身を置けば、必ずロルティは聖女として覚醒するはず。

（誰か1人が必ず聖女として神殿で暮す義務があるなら、あの女に身代わりとなってもらえばいいだけのこと……）

　だが、それを神殿に知られるわけにはいかない。
　ロルティはここにいても、幸せにはなれないからだ。

（偽物なら……）

　神殿は聖女を崇め、守護する場所だ。

　キララが偽物だと発覚すれば、彼女の養父は血眼になってロルティを探し、再び手中に収めようとするだろう。

「わかりました」

　愛する幼子のために必要なことであれば、カイブルには断る理由がない。
　彼は上司とともに、神殿の大広間へと向かった。