異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
「カイブル・アカイムのことなら気にするな」
「パパ、カイブルを知ってるの?」
「ああ。あいつは今、特殊な任務の最中だ」
「にんにん……?」
「仕事なら、わかるか?」
「うん!」
ロルティが満面の笑みを浮かべて頷けば、彼女の頭部を撫でたジェナロもまた優しい瞳で愛娘を見つめた。
「役目を終えれば、いずれあちらからやってくるだろう」
「わたしはパパといい子で、待っていればいいの?」
「ああ。そうだ。俺と、公爵家へ帰ろう」
父親にそう誘われた彼女は2つ返事で頷きたい気持ちをぐっと堪える。
胸元に抱きかかえている獣の存在が、気掛かりだったからだ。
ロルティは潤んだ瞳でジェナロを見つめ、不安そうに問いかけた。
「それって、うさぎしゃんも一緒でいい?」
「もきゅ……」
「そのウサギは、ロルティのペットか」
「うんん。さっきね、森で出会ったの!」
娘は迷いの森で倒れ伏していたアンゴラウサギを、聖なる力で治療したのだと父親へ告げた。
ジェナロはじっと鬱蒼と覆い茂る木々の隙間を眺めて何やら思案しながら、黙ってしまう。
このままこの子を公爵家へ連れて行き、モンスターであることが後々発覚すれば面倒だと危惧しているのかもしれない。
「パパ、カイブルを知ってるの?」
「ああ。あいつは今、特殊な任務の最中だ」
「にんにん……?」
「仕事なら、わかるか?」
「うん!」
ロルティが満面の笑みを浮かべて頷けば、彼女の頭部を撫でたジェナロもまた優しい瞳で愛娘を見つめた。
「役目を終えれば、いずれあちらからやってくるだろう」
「わたしはパパといい子で、待っていればいいの?」
「ああ。そうだ。俺と、公爵家へ帰ろう」
父親にそう誘われた彼女は2つ返事で頷きたい気持ちをぐっと堪える。
胸元に抱きかかえている獣の存在が、気掛かりだったからだ。
ロルティは潤んだ瞳でジェナロを見つめ、不安そうに問いかけた。
「それって、うさぎしゃんも一緒でいい?」
「もきゅ……」
「そのウサギは、ロルティのペットか」
「うんん。さっきね、森で出会ったの!」
娘は迷いの森で倒れ伏していたアンゴラウサギを、聖なる力で治療したのだと父親へ告げた。
ジェナロはじっと鬱蒼と覆い茂る木々の隙間を眺めて何やら思案しながら、黙ってしまう。
このままこの子を公爵家へ連れて行き、モンスターであることが後々発覚すれば面倒だと危惧しているのかもしれない。