異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません！

（おとうしゃまとは、違う目をしているような……？）

　彼がロルティを見つめる視線は、とても優しい。
　慈愛に満ち溢れていると称するべきだろう。
　それは、カイブルが彼女に向けるものと酷似している。

（初めて、わたしのパパだって名乗り出てきた人……）

　自身を逃してくれた聖騎士と同じ視線でこちらを見つめる自称父親は、きっと悪い人ではないはずだ。

（疑いたくないし、信じてみたい）

　神殿に追われ命を狙われているロルティにとって、庇護してくれる大人は貴重な存在なのだから……。

「どうした。俺の顔に、何か付いているか」

　百面相をしながら自身の顔をじっと見つめている娘が、ずっと気になっていたのだろう。
　ジェナロが声をかけてきたのは、彼女にとって好都合だった。

「どうしてパパとわたしの瞳は、色が違うの？」

　ロルティは疑問を解消するために、ある質問を投げかけた。
　それを耳にした父親は、難しい顔で彼女に告げる。