異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
(なんでこんな奴が彼女の最期を看取れて、俺は……)
悔しくて、苦しくて。
一番つらい想いをしていたのは彼女であるはずなのに、瞳からはみっともなく涙が頬を伝ってこぼれ落ちた。
(俺はいつだって自分勝手で、愛する人を傷つけてばかりだ……)
後悔したって、失われたものはもう二度と戻らないとわかっているのに。
彼は、記憶の中で自身に笑いかける愛しい人の姿に手を伸ばしてしまうのだ。
『旦那様!』
ひまわりの花が咲くような笑顔が好きだった。
この国でたった1人しかいない、貴重な翡翠の瞳を持つ美しい彼女を、独り占めしたかった。
ただ、それだけだったのに。
『愛しています』
――優しく微笑んだ彼女が自身に愛を囁く姿を、一目でいいから見てみたい。
その願いはもう二度と、叶えられなくなってしまった。
『――ロルティだよ。翡翠の目をした、女の子さ』
だが――彼女がこの世に残した幼子は、まだ生きている。
特徴的な翡翠の目を母から譲り受けたロルティと名付けられた娘を大金と引き換えに渡せと命じれば、神殿は喜んで彼女をこちらへ差し出すだろう。
悔しくて、苦しくて。
一番つらい想いをしていたのは彼女であるはずなのに、瞳からはみっともなく涙が頬を伝ってこぼれ落ちた。
(俺はいつだって自分勝手で、愛する人を傷つけてばかりだ……)
後悔したって、失われたものはもう二度と戻らないとわかっているのに。
彼は、記憶の中で自身に笑いかける愛しい人の姿に手を伸ばしてしまうのだ。
『旦那様!』
ひまわりの花が咲くような笑顔が好きだった。
この国でたった1人しかいない、貴重な翡翠の瞳を持つ美しい彼女を、独り占めしたかった。
ただ、それだけだったのに。
『愛しています』
――優しく微笑んだ彼女が自身に愛を囁く姿を、一目でいいから見てみたい。
その願いはもう二度と、叶えられなくなってしまった。
『――ロルティだよ。翡翠の目をした、女の子さ』
だが――彼女がこの世に残した幼子は、まだ生きている。
特徴的な翡翠の目を母から譲り受けたロルティと名付けられた娘を大金と引き換えに渡せと命じれば、神殿は喜んで彼女をこちらへ差し出すだろう。