異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
「うさぎしゃん! お外に行けるんだって!」
「きゅう……」
「楽しみだね!」
「んきゅ……」
ニコニコと笑顔を浮かべるロルティとは対象的に、アンゴラウサギはあまり気乗りしていないようだ。
飼い主を見上げ、「ほんとに行くの?」と不思議そうな瞳で見つめていた。
「その子が人間嫌いなら、街中へ連れて行くのはストレスにならないか?」
「そうだな。そのウサギを連れて行くのは、得策とは言えない」
「うさぎしゃん、留守番なの……?」
「んきゅ……」
「それじゃ、ご褒美にならないよ!」
ロルティはどうにかアンゴラウサギと一緒に買い物ができないかと父親に懇願したが、保護者と本人が嫌がっている状況ではどうにもならない。
彼女はしょんぼりと獣を抱きしめ、先程までのハイテンションが嘘のように落ち込んでしまった。
「おにいしゃま……どうしよう……?」
「仕方ないよ。無理にこの子を連れて行って……何かあった方が問題だろ?」
「何かって?」
「逃げ出して、行方不明になるとか」
「うさぎしゃん、迷子になっちゃうの!? 駄目だよ!」
「むきゅ……!」
何度目かわからぬ大声に耳を震わせたアンゴラウサギが、いやいやと身体を揺らす。
ロルティが気づいた時には、ちょうどジェナロが毛刈りを終えたところだった。
「きゅう……」
「楽しみだね!」
「んきゅ……」
ニコニコと笑顔を浮かべるロルティとは対象的に、アンゴラウサギはあまり気乗りしていないようだ。
飼い主を見上げ、「ほんとに行くの?」と不思議そうな瞳で見つめていた。
「その子が人間嫌いなら、街中へ連れて行くのはストレスにならないか?」
「そうだな。そのウサギを連れて行くのは、得策とは言えない」
「うさぎしゃん、留守番なの……?」
「んきゅ……」
「それじゃ、ご褒美にならないよ!」
ロルティはどうにかアンゴラウサギと一緒に買い物ができないかと父親に懇願したが、保護者と本人が嫌がっている状況ではどうにもならない。
彼女はしょんぼりと獣を抱きしめ、先程までのハイテンションが嘘のように落ち込んでしまった。
「おにいしゃま……どうしよう……?」
「仕方ないよ。無理にこの子を連れて行って……何かあった方が問題だろ?」
「何かって?」
「逃げ出して、行方不明になるとか」
「うさぎしゃん、迷子になっちゃうの!? 駄目だよ!」
「むきゅ……!」
何度目かわからぬ大声に耳を震わせたアンゴラウサギが、いやいやと身体を揺らす。
ロルティが気づいた時には、ちょうどジェナロが毛刈りを終えたところだった。