異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
「ねぇ。カイブル。なんでお姫様でもないのに、頭の上へ王冠をつけなきゃなんないわけ?」
――世界で一番聞きたくない少女の声が、聞こえてきたからだ。
「神殿の外へ出る許可をあっさりと得られたのはいいけどさぁ……。ねぇ。もしもーし! 聞いてる~?」
彼女の名前はキララ・サミダレ。
ロルティの代わりに新たな聖女として任命された、異世界から召喚されてきた少女だ。
その隣には幼子が大好きな青年がじっと唇を引き結び、無表情で佇んでいる。
彼はカイブル・アカイム。
聖騎士として働く、神殿内で唯一ロルティに優しくしてくれた男性だったのだが……。
「もう。返事をしてくれない護衛騎士と、どうやって見習い聖女ちゃんを殺せばいいの!?」
穏やかではない単語を耳にしたロルティは、笑顔を凍りつかせて全身をブルブルと震わせた。
(おねえしゃん……。わたしのこと、殺すって言った……!)
ロルティのことを始末しようと企てているキララの護衛騎士としてそばに佇むのなら、カイブルも敵になったと考えたほうがいいだろう。
(カイブル……。どうして……?)
彼女は瞳に大粒の雫を貯めると、涙声で父親へ訴えかけた。
――世界で一番聞きたくない少女の声が、聞こえてきたからだ。
「神殿の外へ出る許可をあっさりと得られたのはいいけどさぁ……。ねぇ。もしもーし! 聞いてる~?」
彼女の名前はキララ・サミダレ。
ロルティの代わりに新たな聖女として任命された、異世界から召喚されてきた少女だ。
その隣には幼子が大好きな青年がじっと唇を引き結び、無表情で佇んでいる。
彼はカイブル・アカイム。
聖騎士として働く、神殿内で唯一ロルティに優しくしてくれた男性だったのだが……。
「もう。返事をしてくれない護衛騎士と、どうやって見習い聖女ちゃんを殺せばいいの!?」
穏やかではない単語を耳にしたロルティは、笑顔を凍りつかせて全身をブルブルと震わせた。
(おねえしゃん……。わたしのこと、殺すって言った……!)
ロルティのことを始末しようと企てているキララの護衛騎士としてそばに佇むのなら、カイブルも敵になったと考えたほうがいいだろう。
(カイブル……。どうして……?)
彼女は瞳に大粒の雫を貯めると、涙声で父親へ訴えかけた。