異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
5・公爵家の愛娘、毛糸を作る
「お帰り、ロルティ……」
「ふぇ……っ。ひ、ひっく……っ。お、おにいしゃま……!」
「どうしたの!? 父さんに、いじめられた!?」
「父親を真っ先に疑うとは何事だ!」
ジェナロに抱きかかえられて自室に戻ってきた愛しい妹を出迎えた兄は、ロルティが泣いていることに気づいたからだろう。
思わず父親を、物凄い剣幕で叱る。
あらぬ疑いをかけられたジェナロが当然のように怒声を浴びせれば、2人はあっと言う間に一触触発な雰囲気になった。
「う、うわーん! おにいしゃま、パパ、こわいよー!」
この状況になれば涙を堪えていたロルティも、我慢しきれずに大泣きしてしまう。
ジュロドとともにベッドの上で休んでいたアンゴラウサギは心配そうに彼女を見上げ、父と兄はおろおろと視線をさ迷わせながら最愛の家族に謝罪を繰り返す。
地獄絵図としか言いようのない光景が終わりを告げたのはロルティがピタリと泣くのを止め、外から控えめにノックの音が聞こえてきてからのことだった。
「パパ! メイドしゃん!」
「ああ。入れ」
「失礼いたします」
先程までの情けない表情はどこへやら。
「ふぇ……っ。ひ、ひっく……っ。お、おにいしゃま……!」
「どうしたの!? 父さんに、いじめられた!?」
「父親を真っ先に疑うとは何事だ!」
ジェナロに抱きかかえられて自室に戻ってきた愛しい妹を出迎えた兄は、ロルティが泣いていることに気づいたからだろう。
思わず父親を、物凄い剣幕で叱る。
あらぬ疑いをかけられたジェナロが当然のように怒声を浴びせれば、2人はあっと言う間に一触触発な雰囲気になった。
「う、うわーん! おにいしゃま、パパ、こわいよー!」
この状況になれば涙を堪えていたロルティも、我慢しきれずに大泣きしてしまう。
ジュロドとともにベッドの上で休んでいたアンゴラウサギは心配そうに彼女を見上げ、父と兄はおろおろと視線をさ迷わせながら最愛の家族に謝罪を繰り返す。
地獄絵図としか言いようのない光景が終わりを告げたのはロルティがピタリと泣くのを止め、外から控えめにノックの音が聞こえてきてからのことだった。
「パパ! メイドしゃん!」
「ああ。入れ」
「失礼いたします」
先程までの情けない表情はどこへやら。