野いちご源氏物語 第一巻 桐壺(きりつぼ)
桐壺(きりつぼ)更衣(こうい)様の皇子(みこ)が三歳になられると、袴着(はかまぎ)という儀式(ぎしき)が行われたわ。
男の子が生まれて初めて(はかま)をつける特別な日よ。
その儀式の盛大なことと言ったら、(いち)の皇子のときにも負けないくらい。
(みかど)宝物庫(ほうもつこ)から上等な品物をすべて出してお祝いなさったわ。

それに対して世間では悪く言う人も多かったけれど、成長なさった皇子の容姿(ようし)も性格もすばらしいことを知ると、嫌うことなどできなくなってしまったの。
まともな感覚をもった人なら、「こんなにすばらしい方が世の中にいらっしゃるのか」と驚いて、悪口を言うことなんて忘れてしまうんだもの。
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