野いちご源氏物語 第一巻 桐壺(きりつぼ)
葬式(そうしき)のあとも、丁寧な法事(ほうじ)が定期的に行われたわ。
(みかど)は日が経つにつれてどうしようもなく悲しくなっていかれる。
毎日ただただ泣いていらっしゃって、お仕えしている人たちまで物悲しくなった秋だった。

(きさき)様たちはどなたもご寝室に呼ばれない。
弘徽殿(こきでん)女御(にょうご)様は、
「死んだ後も腹の立つ女ね」
なんて容赦(ようしゃ)のないことをおっしゃっていた。

帝は(いち)皇子(みこ)をご覧になっても、桐壺(きりつぼ)更衣(こうい)様の皇子のことを恋しく思い出すばかり。
女房(にょうぼう)乳母(めのと)——皇子のお世話係を更衣様のご実家に行かせて、たびたび皇子のご様子をお尋ねになっていたわ。
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