ヨルの探偵Ⅱ
おまけと渡されたものは、小さな容器に入った謎の液体と注射器。しかも2本セット。
私の勘だと、毒かなんかだと思うんだけど。どうして寄越したんだろう? ナナくんの顔を見つめると、彼は手招きして私を近くに呼んだ。
仕方なく距離を縮め、換気扇に座ってるナナくんを見下ろす。
「目、近くで見たかったんだよね」
「はいはい、それはいいから。で、これ何?」
「遅効性の毒と解毒剤」
「見たらわかるよ。なんでくれるの?」
私の質問に答えず、効果が現れるのは48時間後。48時間経つと、痺れと眩暈。60時間が経つと、呼吸障害と平衡感覚の麻痺、72時間後には確実に死ぬと説明してくるナナくん。
毒は100mlあるが20mlくらいで普通は死ぬこととセットの解毒剤はそれしかないことを伝えてきた。
丁寧な説明ありがとう。それで?
「役に立つかと思って」
「ふうん。なら有効活用するよ。ありがとう」
「どういたしまして」
「……それで、なんで私の腰ホールドしてんの?」
しがみついてきたナナくんに怪訝な顔で見下ろすも、彼の表情に変化はない。
私の周りは揃いも揃ってネジぶっ飛んだ奴が多いから慣れたつもりだったけど、いきなり腰ホールドされた意味はわからない。
説明を求めて冷めた目で見下ろせば、ナナくんは口を開いた。
「俺、いい働きしたと思う。おかわりは?」
「……そのために頑張ったの?」
「まぁ、うん。なんか足りなかったし」
ああ、そう。キスがお駄賃的な?
毒も使いようだし、見取り図に関しては文句ない働きしてくれたからいっか。
ナナくんの頬を両手で挟む。すると、ぐいっと腰をホールドしていた腕を引き寄せてきたから距離が更に縮まった。