ヨルの探偵Ⅱ
お茶漬けを食べ終え、未だ鈍い頭を働かせるために熱い珈琲を淹れてから、クラブと地区の見取り図を開いた。
うん、これくらいならすぐ暗記できる。
「……なんの、地図見てんの」
「うわぉ、莉桜くん。ゲーム終わったの?」
「蒼依に負けてムカついたからやめた」
「なるほど。蒼依くんがしょんぼりしてソファーに顔埋めてるのはそれが理由かぁ」
ちょっと可哀想な姿だけど、作戦を立てる話し合いのタイミングとしてはベストだから。ごめんね?
私のノートパソコンを覗き込む莉桜くんに、ソファー行こうと手を繋いで珈琲カップを持ってもらう。優介くんも翔くんもついてきてるね。よし。
全員がリビングのテーブルを囲むように座ったところで、私が一番先に口を開いた。
「端的に言うと、明日の夜に潜入します」
「「「「…………は?」」」」
見事な揃い方で。
翔くん以外が見事に口を揃えて「は?」と私の言葉に間抜け面を晒すので、反対に私は余裕の笑みで珈琲を飲んだ。
あつ。にが。マレくんなら壁にぶん投げてる苦さ。
ずずーっと珈琲を啜ってると「は? 説明」と莉桜くんが眉を寄せて言うから、一旦状況整理するために知ってる情報を全て話すことにする。
さーて、どこから話そうか。
「ニエンテについては、もうわかってるよね?」
「莉桜が調べたやつはな〜」
「バックにいるやつは? マフィア的な奴ら」
「…………は?」
その反応2度目だよ、蒼依くん。
的な、なんて付けなくても背後にいるのがマフィアなことには変わりない。怖がらせないように気遣ったけど無意味だったらしい。
優介くんと蒼依くんが目をまん丸にする中、莉桜くんと翔くんは察しいいコンビは黙り込んだ。恭だけは何を考えてるか分からない。