ヨルの探偵Ⅱ
ノートパソコンに群がって見取り図を把握してる彼等に「監視カメラもね」と伝えつつ、頭の中でもっと精密に作戦を企てる。
彼等に伝えたのは、大まかなもの。他にも私の計画はまだあるけど、支障が出ては困るから口を噤んだ。
質問してくる彼等に珈琲を飲みながら答えを返し、お昼3時のおやつの時間に話し合いは終わった。
「もう質問は?」
「は〜い、どうやってこんな調べたんでしょうか〜。見取り図と会員証まで手に入れちまって〜」
「君たちより全てにおいて私が上だっただけで〜す」
「月夜ちゃん、煽り方すごいな」
「何感心してんの優介、僕ら全員煽られてんだよ?」
いや、莉桜くんに向けてじゃないよお。
色々調べてくれたし、その健気さに免じて情報が足りない部分があっても全然気にしない! まあ総合的に私に負けてるけどね、みんな!
それを全部まとめて笑顔で表すと「可愛いけど腹立つな〜」と蒼依くんが真顔で言ってきた。
かわい? どうもありがとう。
「で、警備員一人シメて潜入すりゃいいの?」
「ほわ? 翔くん物騒なんだけど……。警備の服一着だけ入手したからそれ着て監視カメラの異常が〜、とか言って潜入してね」
「いつ入手したんだよ……」
それはね、何故か朝方潰れた私にマレくんがくれたんだよ。
いつもそんなお手伝いみたいな事しないのに、それ以前に詳しく話してないのに、詳細全部知られてるみたいだったからね。どうなってるんだ。
笑顔で誤魔化し、耳を塞いで「俺は聞きたくな〜い」とごろごろ転がる蒼依くんを足蹴にする。
うわ、足蹴にされて喜ばないでよ。マゾ?
「蒼依くんはね、ドラッグクイーンになってもらいます。運動神経いいし、女装しても踊れるでしょ? ステージで踊って、雲竜弟の方足止めよろしくね?」
「……まじ?」
「まじ。ちなみに私も変装して雲竜兄の方を脅して寝返らせるための布石巻いてくるから。迅速に22時から1時間の間で事を済ませるよ。監視カメラに映らず、逃走経路も把握済み、全員誰にもバレないように。いいね? それじゃあ、明日の夜22時。時間の無駄なくって感じで、潜入しまーす」
わかった? と圧をかけて作戦タイムは終わった。