ヨルの探偵Ⅱ
話し合いが終わり、みんなでゲームやお菓子タイムを挟みつつ過ごしていれば、あっという間に夜になった。
朝陽と虎珀くんも帰ってきたので全員で夜ご飯を食べ、今日は帰ると言うbsメンバーを見送ろうとしてる午後23時。
珍しい問題児がソファーに引っ付いて離れない。
「なんなの翔くん。おねむなの? 起きて」
「泊まる。月夜とくっついて寝るって決めた」
「いやまだ夏だから。暑いよやだよ」
「部屋寒くすりゃいいだろ」
駄々っ子かっ!
部屋の温度下げてまでくっついて寝たいのは可愛いけど、ソファーに顔ずぶずぶ埋めるのはやめてほしい。朝陽が困惑した顔でこっち見てる。
玄関で莉桜くんの「翔まだ? 蹴飛ばすよ?」と段々イラついてる声も聞こえてきて、起きてくれないと私まで巻き込まれてしまう。
ふぬーっと翔くんの腕を持ち上げようにも、電池切れのロボットのように彼はビクともせず。私のか弱い腕の筋肉が悲鳴上げた。
「ほんとに置いてかれちゃうって! 翔くん〜」
「泊まるから大丈夫」
「何も大丈夫じゃないね? 起きて!」
「本日の営業は終了しました」
「……姉ちゃん、翔くん壊れた? 大丈夫かな」
ほらあー! 朝陽が心配しちゃったー!
閉店ガラガラってするな! 翔くん24時間営業でしょ! 起きて〜!!
うつ伏せになってる翔くんの上に乗っかり、上半身を倒して密着した体勢で「起きて!」と叫ぶも末っ子は微動だにしない。不動か。
ダメもとで擽ってみたけど効かず。耳でも齧ってやろうかと考えるも、弟ズが見てるからやめといた。
「月夜、明日のことなんかまだ隠してねぇ?」
「……」
と思えば、完全な不意打ち。驚いた。
私の表情は見えてないくせに、ほんの僅かな反応の違和感に気づいた翔くんに完敗だと諦める。
ほんと、私のことはやけに鋭い。