Devilの教え
 曜日も時間も関係なく、年がら年中誰か必ずここにいる。


 部屋の(あるじ)がいようがいまいが関係なく誰かがいる。


 だからあたしは「あの後」すぐにこの部屋にやって来た。


 ひとりじゃ余りにも虚しすぎて、やり切れない思いをどうする事も出来ず、悔しいとか悲しいとかって感情ももちろんあるけど、それよりも腹立たしい気持ちが先行して、


――誰かに愚痴りたい。


 そう思ったからここに来た。


「それで? その後どうした?」

 目の前の、沢山いる先輩の中でも一番仲の良いアサミ先輩は、人の不幸を心底楽しげに笑いながらそう聞いて、


「その後って何ですか?」

 半分不貞腐れてあたしが答えると、「『何してんのよ!』って叫んだ後に決まってんじゃん」と更に楽しそうに口許を(ゆる)める。
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