Devilの教え
 何かを期待してるような瞳はキラキラと輝き、まるでクリスマスプレゼントを待つ小さい子供のようだと思った。


「別にどうもしてませんよ……」

「は?」

「どうもしてませんって……」

「一発殴ってやんなかったの?」

「そんな事しませんよ」

「相手の女にも何も?」

「してません」

「じゃあ、その場をどうやって収めたのよ」

 あたしの答えにアサミ先輩は情けないって感じの溜息を吐き出し、明らかに面白くないって表情して、床に置いてあった缶コーヒーに手を伸ばす。


 爪に綺麗に塗られたピンクのネイルが、缶コーヒーの青い柄と同調して、何だかやけに映《は》えて見え、色っぽく思えた。
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