Devilの教え
 あの場所が“元”彼氏の地元だなんて微塵も思ってなかった。


 多少なりその可能性があるって分かってればこんな事にはならなかったのに。


 ううん。よくよく考えれば、そんな感じはあった。


“元”彼氏は最初からあたしに声を掛けたくて近付いたんじゃなくて、地元の先輩であるアスマを見掛けて無視出来ないから近付いて来ただけかもしれない。


 っていうか、その可能性は大。


 アスマに挨拶したのも、あたしの連れだと思ったからとかそういう次元じゃなくて、地元の先輩だから挨拶しない訳にはいかなかったってだけ。


 むしろあたしへの挨拶の方がどうでもよくて、アスマと一緒にいたから無視する訳にもいかなかったってだけの事。


 なのにあたしはベラベラと、余計な事を喋り連ねた。


 今更気付いて後悔しても遅い。
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