Devilの教え
 遅すぎる。


 言った事を取り消す事なんて出来ないし、「冗談でした!」っておどけるなんて寒すぎる。


 だからって取り繕う方法が分からない。


 この場をどう収めればいいのか分からない。


 だから呆然と立ち尽くすしかなくて、


「スズ……」

“元”彼氏の哀れんだような声が、あたしを地獄に突き落とした。


 隣には悪魔。


 正に、地獄。


 未だ異界の使者の腕を両腕で掴んだまま、正面にいる“元”彼氏を真っ直ぐに見る事なんて出来ず、徐々に下降していく視線は、完全なる敗北を意味していて、
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