Devilの教え
 黙り込んでしまったあたしをボーッと突っ立ってるだけだと思ったのか、アスマは訝しげな顔で見る。


「き、聞いてるよ! い、意味が分からないだけ! オツムも悪くないし!」

 慌てて紡いだ言葉は声が裏返った上に口篭ってしまい、そんなあたしを魅惑たっぷりな顔で笑ったアスマは、「もっと勉学に励め」とバカにした声で言葉を吐き出した。


「勉強してるってば! 今も勉強の時間だよ!」

「何の勉強だよ」

「社会勉強!」

「社会勉強したけりゃ、そこら辺のおっさん捕まえて教えてもらえ――って、おい、何だよ!」

 今にも「じゃあな」と言い出しそうなアスマの、腕を掴まえたのは反射的だった。


 アスマからすれば突飛(とっぴ)な行動に出たあたしを、アスマは見開いた目で数秒見つめてから今度こそ本当に観念したように溜息を吐く。


 そして。
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