Devilの教え
「もうすぐだろ」

「もうすぐ?」

「ホワイトデー」

「あ!」

 アスマに言われて思い出した日付と曜日に、短い声を上げたあたしにアスマは満足そうに微笑んで、


「『呪い』のお返しだ」

 漆黒の瞳の奥を意地悪く光らせる。


 毒牙に掛かるって事がどういう事なのか分からない。


 アスマに口説かれた事なんてないし、きっとアスマはあたしを「女」としては見ていない。


 だけど思った。


 きっとアスマはこの瞳で――艶めかしく潤った漆黒の瞳で――「女」っていう生き物を魅了して悪魔の毒牙に掛けるんだろうって。
< 139 / 455 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop