Devilの教え
 そうはさせるかと今度はアスマの体に両腕でしがみ付くあたしに、アスマが盛大な溜息を吐き出す。


 永遠に終わりそうもないこの戦いに、ほとほと愛想が尽きたらしい。


「スガ、もうほっとけ」

「スズをアスマさんの毒牙に掛ける訳には—―」

「安心しろよ。こんなガキに手え出さねえから」

 きっぱりとそう言ったアスマに、「ガキじゃない!」って反論しようとしたあたしは、


「まあ、そうッスね」

 あっさりとそれを認めちゃったスガ先輩に愕然とした。


 心配するなら最後までしてくれればいいのに、アスマの一言で引き下がるなんて酷すぎる。


 もう少し反発してくれてもいいのに、スガ先輩はさっさと買って来た缶コーヒーを飲み始める。


 逆に、(むな)しくなった。
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