Devilの教え
 スガ先輩に横取りされないように素早くそれを手に取ったあたしに、「おい!」ってムキになるスガ先輩は心配しすぎだと思う。


 っていうか。


 スガ先輩がそんな事言うから、逆に意識してしまう。


「アスマ、ひと口もらっていい?」

「勝手に飲め」

 あたしとスガ先輩のやり取りなんて、どうでもいいって感じで答えたアスマに、「いただきます」って言ったあたしの目がしっかりと捉える。


 アスマの唇が触れた、ソコ。


 (つや)やかで(なま)めかしい唇が触れた、ソコ。


 心なしか微かに震え出した手を誰にもバレないようにして、飲み口に唇を着けると少しだけ胸がキュンと――。
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