Devilの教え


「何が」とか「どこが」とか、そういうのは分からないけど、何となくアサミ先輩の態度に違和感を覚えた。


 アスマへの挨拶の言い方なのか、声の調子なのか、分からないけど違和感があった。


 その違和感に無言でアスマに視線を向けると、アスマはいつもの如くポーカーフえスで、ドア付近にいるアサミ先輩を一瞥するだけですぐにマサキさんに視線を戻す。


 挨拶し返すつもりはないらしい。


 マサキさんの彼女だからって、気を遣う素振りすら見せない。


 だから気の所為なんだと思った。


 隣にいる妖艶な異界の使者の態度が全く変わらないところに、感じた違和感は気の所為なんだと――何故か――ホッとした。


 妙な安心感にアサミ先輩に視線を戻すと、アサミ先輩はゆっくりとこっちに近付き、マサキさんとスガ先輩の間に腰を下ろす。
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