Devilの教え
「おい」

「え!?」

 すっかり考えに(ふけ)っていたあたしは、隣から聞こえたアスマの声に顔を上げ、


「寄り掛かりすぎだ。重てえ」

「あっ、ごめん!」

 思いっ切りアスマの体に寄り掛かってた事に気付いて慌てて少し離れながら、またスガ先輩に何か言われるかと身構えた。


 だけどスガ先輩はチラッとあたしを見ただけで、もう喚いて大騒ぎする事はない。


 それを妙だと感じたのは気の所為。……なんだろうか。


「んじゃ、納車は再来月くらいで」

「ああ、頼む」

 マサキさんとアスマの、その会話がお開きの合図だった。
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