Devilの教え
 またしてもその隙を突いて、「はい!」って張り切って返事すると、頭上からアスマの溜息が聞こえた。


 だけどそんなものは聞こえてないフリ。


 溜息吐かれようが拒否されようが、あたしはアスマと外に出なきゃならない理由がある。


 だから。


「アスマ、行こう! 早く行こう!」

 スガ先輩に掴まる前にと、あたしはアスマの腕を引っ張って、逃げるように部屋から出た。


――のに。


「駅の方向は知ってるからいい。じゃあな」

 外に出た途端、アスマは右手をヒラヒラと振ってひとりで帰ろうとする。


 聞きたい事があるのに、まるでそれに気付いてるから逃げようとしてるかのように、アスマはさっさと歩き出し、
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