Devilの教え
 然程(さほど)離れてなかった距離を歩き、玄関を開けると靴が減ってた。


 それがマサキさんの靴だって分かったのは、残ってる靴が見覚えのあるアサミ先輩とスガ先輩の靴だったから。


 部屋の主はまた出掛けたらしい。


 それでもまだアサミ先輩たちがいるなら遊んでもらえる。


 アスマに携帯の番号を教えてもらえた事に浮かれ、階段を上るあたしの足取りは軽やかで、部屋の前まで来てようやく「異変」を感じた。


 妙に静か。


 部屋にふたりがいるはずなのに、何の話し声もしない。


 ボソボソという小さい声も聞こえてこなければ、誰かが動いてる気配もしない。


 本日二度目の妙な感じに、静かにドアを開けたあたしは硬直した。
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