Devilの教え
 ドキドキと高鳴る鼓動は、見ちゃいけないものを見てしまったという興奮からなのか、ふたりが漂わせる甘い雰囲気の所為なのかは分からない。


 分からないけどスガ先輩の手が、アサミ先輩の髪を掻き上げた時。


 そしてアサミ先輩が顔を上げ、ふたりが見つめ合ったその時に、胸の高鳴りは最高潮に達した。


 その直後、あたしはソッとドアを閉め、一目散にその家を後にした。


 どうしてそうなったのか、何があってそうなったのか、いつからふたりはそんな関係で、あのふたりの間に何があるのか何も分からない。


 だけど。


 ショック――だった。


 物凄くショックだった。


 妄想してた時にはなかった感情が、夜の公道を走るあたしに湧き上がってくる。
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