Devilの教え
「ジュース奢る! 何にする!?」

 そう問い掛けたあたしを、アスマはチロリ睨み付け無言で炭酸飲料を指差した。


「あ、あのね!? 本当に物凄く大変な事があって、」

「…………」

「本当はこんなに早く電話するつもりじゃなかったんだよ!」

「…………」

「でも、緊急事態っていうかさ!? そ、そういう時ってやっぱあるじゃん!?」

「……お前のは?」

「へ?」

 自動販売機の取り出し口から炭酸飲料を出して差し出したあたしに、アスマはそう言って自動販売機に視線を向け、


「お前、飲まねえの?」

「あ、あたし喉乾いてないから」
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