Devilの教え
 でもそれはそれで当然なのかもしれない。


 そもそもこうしてあたしの話を聞いてくれてるのが奇跡みたいなもので、端っから約束があったアスマに無駄な時間を過ごさせるのは間違えてる。


 だから本当なら「また今度話聞いて」って、アスマを解放しなきゃいけないって分かってる。


 分かってるのに、


「あ、あのね!? 全然まとまってないまま話してもいい!? それでも聞いてくれる!?」

 あたしは必死にアスマをこの場に(とど)めようとした。


 それでもアスマはその事に関しては嫌な顔はしなくて、


「手短にな」

 そう答えるとポケットからまた煙草を取り出し、もう少しあたしの為に時間をつくってくれると言動で示してくれる。


 どうしてアスマがそこまでマサキさんに義理立てするのかは分からないけど、この時ばかりはマサキさんの存在が物凄く大きいものに思えた。
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