Devilの教え
「絶対返せよ」

 やり切れないって感じで呟いたアスマに、


「絶対返す!」

 張り切って答えながら、これでまた会う口実が出来たと内心喜んでた。



 結局のところ、「友達」ってのが何なのか分からない。


 アスマが言ったように、それはただの寂しさを埋める「道具」なだけで、本来不必要なものなのかもしれない。


 だけど。


 だけど――。


「じゃあね! ありがと!」

 大きな通りに出て、急いでるからと先に拾ったタクシーに乗り込んだアスマに大きく手を振ると、アスマはダルそうにではあるけど、軽く手を振り返してくれる。
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