Devilの教え
 迷子になりながらもアスマに会いに行ったあの日から、十日ほどが経つ。


 本当はまだお小遣いを貰える時期じゃないけど、退()()きならない事情があって、チマチマ貯めてたヘソクリを持ってここにいる。


 この間、アスマと「運命」的に会えた場所。


「優しく」抱き締められた自動販売機の前。


 時刻は夜の十一時を回ったところ。


 すっかり訪れた春の気配に寒さを感じる事はなく、夜空を見上げたあたしは、瞬く星を見てちょっとだけ泣きそうになった。


 早くアスマに会いたい。


 どうしても今日会わなきゃいけない。


 頼る相手はアスマしかいなくて、今のあたしには物凄く助けが必要。
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