Devilの教え
「どこ行くの!?」

 あたしの声が木霊(こだま)した。


「静かにしろ」

「どこ行くの!?」

「家に決まってんだろ」

「家ってあそこじゃないの!?」

 坂下に見える団地を指差し困惑するあたしに、


「違え」

 アスマは面倒臭そうに答えるとすぐに前に向き直り坂を登り始める。


 本当に違うんだと分かったのは、坂を登るアスマの足取りが軽やかだからで、相当通い慣れてるらしいその背中に、あたしはヘロヘロとついて行った。


「遅えぞ」

「鞄が……重……」
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