Devilの教え
—―俺以上に適任はいねえだろ。

 アスマは生霊の話を自分が適任だとも言った。


 その言葉達の意味がこういう事だったんだって、ようやく理解した。


「部屋に行くまでは一言も話すんじゃねえぞ」

 形のいい唇に人差し指を立てて当てたアスマに、うんうんって何度も頷くとアスマはあたしの鞄を奪ってまた静かに歩き始める。


 それが家族の人が寝てるからだって分かるのは、広い敷地が静まり返ってるから。


 人の気配はまるでない。


 ただ春の風が木々を揺らし、澄んだ空気をお寺の敷地全域に運んでいく。


 足の裏に感じる砂利の感触を、気持ちいいと思った。
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