Devilの教え
 暗い部屋にポウっと灯りが(とも)り、火の向こうにいるアスマの顔がはっきりと見えた。


 何度見ても見惚れてしまうほどの色気を纏い、アスマは煙草に火を点ける。


 そしてすぐに火は消され、また部屋を闇が覆う。


 それでもさっきよりも少しばかり明るいのは、煙草の先端にある赤い火種のお陰。


 ふうっと煙を吐き出す吐息のあと、アスマの煙草独特の匂いが届き、その匂いに妙にドキドキしてしまった。


「人の意見っつーのは、状況とか状態によって受け取り方が変わってくんだろ」

「へ?」

 ぼんやりと火種を見つめていたあたしは、突然のアスマの声にきょとんと返事をして、


「例えばこの間の『友達』の話にしてもだ」

「あっ、うん」

 それがさっきの話の続きなんだと理解するのに数秒かかった。
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