Devilの教え
「いやいや、そんなに待ってないです」

 スガ先輩の言葉に少しだけ口許を緩ませた悪魔は、向こうが透けて見えるんじゃないかって思うほど肌が白い。


 そう思うのは着ているブルゾンが白い所為かもしれない。


 辺りがやけに暗いから、そう思うだけかもしれない。


「マジあったのか?」

 闇よりも深い漆黒の、襟足の短い柔らかそうな髪を掻き上げ、悪魔はその薄い唇をゆっくりと動かす。


「見つけましたよ。随分苦労しましたけど」

 スガ先輩のその返事に、本人は「おお」と短い歓喜の声を上げたつもりかもしれないけど、あたしには低い唸り声に聞こえた。


 目の前の光景を、ただ呆然と見ていた。
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