Devilの教え
 悪魔はスガ先輩が渡したビニール袋の中を覗いて「サンキュ」と呟き財布からお金を取り出す。


 数枚の千円札が目の前を横切り、スガ先輩の手に渡る。


 服の袖から出たその手も、寒気がするほど白かった。


「マジありがとな。どこにもなくて困ってたんだよ」

「でしょうね。何年も前のですから」

「コーヒーでも(おご)るか?」

「ここら自販機ないでしょ」

僻地(へきち)だからなあ。近くにコンビニもねえよ」

「マジっすか」

「ああ。ところでよ、スガ」

「はい?」

「この女、誰?」

 スッと、流れるようにその目が向けられた。
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