Devilの教え
 長めの前髪から覗く、目尻が少し吊り上がった二重の瞼の中にある吸い込まれそうな漆黒の瞳。


 見据えられたその瞬間、金縛りにあったみたいに体が強張った。


 ゾクリと背筋が寒くなって、どうして「悪魔」だと思ったのか分かった気がした。


 不気味――なんだと思う。


 上手く言えないけど、この男が持ち合わせてる雰囲気を不気味に――異様に――感じる。


 この場の雰囲気に溶け込むような不気味さ。


 むしろこの男がこの場の雰囲気を作ってるようにすら思える。


 だから、その不気味さを「悪魔」に(たと)えたんだと思う。


 何だか理解し難い異様な雰囲気を(かも)し出すこの男が怖くて、その代名詞としてあたしの脳は「悪魔」って言葉を選んだんだと思う。
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