Devilの教え
 指された方へと視線を向けると、一番奥のテーブル席に、見るからに泥酔してるって感じありありの男の人が三人いた。


 あたしから正面に見える男の人はふたり。


 ひとりはテーブルに突っ伏してて、もうひとりは後ろの壁に頭を付けて天井を見上げてる。


 ピクリとも動かない感じからそのふたりが寝てる事は確実。


 そのふたりの正面。


 あたしからは衝立(ついたて)が邪魔で後頭部しか見えないその人が、アスマなんだとすぐに分かった。


 ゆっくりと近付くあたしの胸は何でか妙にドキドキしてて、


「……アスマ?」

 衝立から覗き込むように顔を出すと、椅子に片足を上げ、煙草を吸うアスマの姿が目に入る。


 あたしの呼び掛けにアスマの視線がゆっくりと動く。
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