Devilの教え
 だけどその手の力さえももう無くなっちゃってるらしく、そのままテーブルの方に倒れそうになったアスマを、あたしは慌てて全身で支えた。


「アスマお酒臭いいいい」

「うるせえ」

「臭いいい」

「飲んでんだから仕方ねえだろお」

「重いいい」

「歩けえ」

「ええ!?」

「このまま歩けえ」

「無理いい!」

 正面からアスマを抱きかかえた所為で、その重さに背中が海老反り状態のあたしに、アスマは「さっさと歩けえ」って呂律の回らない口調で命令してくる。


 こんなのどうしようもない。


 あたしにどうにか出来る訳ない。
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