Devilの教え
 そんな事を考えてたら妙に怖くなった。


 何にもしてないけど怒られるんじゃないかって、変な事ばかり考えてた。


 チラリと向けた視線の先には気持ち良さそうに眠るアスマ。


 呼吸と一緒に上下する体の動きを見て、本当に起きるんだろうかと、また急に不安になった。


 あたしの不安を乗せたタクシーは雑木林の坂道を上がって行く。


 起きなかったら本当にお父さんを呼ばなきゃいけないのかとか、でも呼ばなかったらタクシー代が払えないとか、モヤモヤと考えてる内にタクシーはお寺の大きな門の前で停車した。


「着きましたよ」

 バックミラー越しにこっちを見るタクシーの運転手の目が冷たい。……気がする。


 これもきっとあたしの受け止め方だか見え方の問題なだけなんだろうけど、「さっさと金払え」って催促されてる気がしてならない。
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