Devilの教え
「ああ、なるほどな。だから俺“に”じゃなくて俺“を”か」

 納得したように口角を上げ、フッと鼻で笑った悪魔が再びあたしに視線を向ける。


 今の会話で全てを把握したらしい悪魔の瞳の奥が怪しげに光った気がした。


 背筋がゾクゾクとして、やけに息が上がる。


 ただ見られてるってだけなのに、首を絞められてるような息苦しさを感じる。


「あ、あのッ」

 息苦しさから(しぼ)り出した声はとても乾いた声になってて、


「あ、あなたも酷い目に遭ったんですか?」

 口篭りながらもどうにか吐き出したあたしの言葉に、悪魔は――妖艶(ようえん)に――笑った。


 全身の毛が逆立ったのかと思うくらいゾワッとした。
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