Devilの教え
 そして再び缶コーヒーを床に置くと、近くに置いてあるあたしのジュースを一瞥して。


「スズ、あんた珈琲やめたの?」

 何気にそう聞いたんだろうけど、あたしの胸は少し痛んだ。


 紛らわせたいとか忘れたいとか、思ってる事とやってる行動は正反対で、アスマと会わなくなってから飲み始めたのは、アスマが飲んでた炭酸飲料。


「今ハマってて……」

 答えた言葉はジュースの事を言ってるのか、それともアスマの事を言ってるのか、自分でもよく分からなかった。


「スズ?」

「はい?」

「何かあった?」

「何でですか?」

 アサミ先輩の唐突な質問に、ジュースに手を伸ばしながら聞き返すと、
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