Devilの教え
「最近、元気ないじゃん?」

 アサミ先輩は少し心配してるって感じの声を出す。


 自覚がなかった訳じゃない。


 テンションが上がらないって自分でも思ってた。


 でもそれはいつもいつもアスマの事を考えてしまうからで、考えないようにする為にこうして「巣穴」にいる時も結局アスマの事ばっか考えてる。


「相談には乗らないけど話は聞くからさ」

「へ? 相談には乗らないんですか?」

「乗らない」

 聞き返したあたしの言葉に、クスクス笑いながら答えるアサミ先輩は、こっちを見ない。


「何でですか?」

「人の相談に乗るってすっごい難しいから」

 その目が向けられているのは、「巣穴」のドア。
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